玄関は最も他人が入り込む可能性の高い空間。だからここには施工単価をかけてでも大理石を使う。
「続き間」になっている和室は、おそらくは玄関先では追い返せない程度の「外向き」の来客スペース。大切な家族の生活とは一定の距離感も確保できる。
古き良き我が国の住宅には必ずしつらえられていた応接間に近い機能。だからアプローチは美しく化粧をする。
この和室と浴室、そして寝室が中庭を取り囲む。決して大きな空間ではない中庭は三重にも活用されているのだから、三倍のスペースとしての意味を持つ。
そしてその視線を、配置の角度や窓の大きさ・位置などによってキッチリと方向整理する。
洗面の正面・・・ドアを開けた目線の先に少しだけズレを作って中庭からの明かり取りを設ける。浴室の間仕切りはガラスだ。こうすることでこれら二つの空間を視覚的には一体に繋いで心理的なゆとりを生み出す。
寝室の窓は南と東に大きく開く。これはやりすぎると明るすぎたり暑すぎたりするもので、考えの足らない設計や、無闇に設計に施主が口出しをした場合によく見かける失敗例だ。しかしココでは設計者はこの窓に遮光性のあるシャッターを採用することで安眠のための空間を確保した。 プランとして特筆すべきは南側よりも東側の窓だろう。隣地は駐車場、その先が道路、そして低層建物。つまりベッドの上の目線からは、こんな横浜のど真ん中の町中でありながら空まで見通せることになる。 これに更に北側の小窓が例の中庭からの採光を取り込む。窓は前記2室とは明らかに形態の違う細長い形状をしており、採光を取り込むと同時に共有機能を持った中庭から寝室のプライバシを保護している。こちらからは見えるが、あちらからは見えにくいというような作りになっている。
子供部屋は将来の子供の成長に併せて、キッチリ二分割できるように最初から設計されている。とはいえ、ココまで至れり尽くせりに数多くの工夫を見せつけられると、この程度の工夫ではもう驚かなくなってしまうから、人間というのは贅沢なものだと思う。