第2章 品薄ならば掘り起こす。定石通りの現地移住

(6)「礼を尽くし、正直者が報われる」

今回、約束を守れなかったのはクライアント側である。もっとも、それは人生の一大事、「住宅用地購入」という課題を目の前にして、誰しもが経験するちょっとした迷いの様なものであったのだと思う。しかし、それはあくまでもこちらの事情。先方には関係ないことで一定の迷惑を掛けた以上、頭を下げるのが筋であろう。

Yさんはこのことについて、一切の言い訳をしなかった。誠意を持って自ら買主宅を訪問し、お詫びをした。

そしてここで、齊藤にも予期せぬ展開が生まれる。こちらが破った約束の期限につき、売主側から延長しても良いという申し出をいただいたのである。しかもこの時点でこの人気宅地には二番手候補がおり、条件もおそらくはそちらの方が金額的に上であったと思われる。世の中、「お金」だけでははかれない価値観が現に存在する。

そしてそれを現実のものとし、きちんとつかみ取ったのは、Yさんの誠意という名の行動だったのだろう。

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平成17年04月

<催促:午後3時>
  • 相手方業者からアース・デザインに催促(当然のこと)。
  • 約束を守れなかったことを謝罪、本件優先交渉権は放棄せざるを得ないと打診。
  • 3時過ぎにYoさんから連絡、上記を報告。
  • これほど真剣に知識を蓄積してきたYoさんが、「決断できないのは準備不足のため・・」と反省。
  • ただし、先方に迷惑をかけ、約束を守れなかったことはお詫びする必要がある旨伝達。
  • Yoさんも売主様宅に出向き、謝罪を行うことに賛同。
<謝罪:午後8時>
  • 謝罪の席上、話が急展開、Yoさん自身が売主代表者(責任者)と直接電話にて打合せ、優先交渉権をもう一日維持することに成功(詳細後述)。
  • Su建築士から協定に対応しつつ眺望も確保できるような建築計画の再提案。
  • Yoさんは早速齊藤に連絡も、今度は齊藤がつかまらず・・。
  • 齊藤は本件は交渉終了、あるいは再交渉があっても数日後との認識にて緊急対応を想定していなかった(反省!)。
Yo様→齊藤
昨日は、また大変お世話になりました。ばたばたとお騒がせしてすみませんでした。

あの後、K様宅へお邪魔し、所有者の方といろいろ話しました。

K様のお話では不動産屋さんが、「断ってきた」と娘さんに連絡してきたとのことでしたので、そうではない旨申し上げて、15時に答えが出せなかったことをお詫びしたい、ということで、娘さんに電話したところ娘さんのだんなさんがお出になり、以下のような話になりました。

私:15時には間に合わなかったのですが、実はまだ迷っていて、完全に諦めたわけではなくて・・・。

先方:眺望のことで悩まれているそうで。高い買い物ですから、悩むのも当然です。

私:基本的には大変気に入っているのですが、海の見え方だけが気になっておりまして、現在お願いしている建築家の方に解決策があるのか、私たちの希望の家が建てられるのか、スケッチを描いてもらっているのですが、それは15時には間に合わなくて・・・

先方:そうでしたか。それでは「建築家の方の腕の見せ所」というわけですね。そういうことなら、今晩一晩、猶予を持ちましょう。

私:いいんですか??

先方:次に、「買いたい」と言って待っている人には、さっき「(Yoさんから)断りの連絡があった」と一度伝えてあるけれど、私と妻と母と相談して、あなたのほうにお時間を差し上げることになりました。あそこはいい環境です。住んだほうがいいですよ。土地として売りに出しているし、家を壊すための130万くらいの費用も、こちらで持とうと話しているのです。
という、見ず知らずの私たちに非常によくしていただき、信じられないような提案までいただき、不思議な話ではありますが、このような「縁」を理由に購入を決めても、将来、後悔はないのかも知れないと感じました。K様の居間へおじゃましたのですが、上記のような感情的な動機に加えて、
  • 居間から庭越しに見る向かいの家との距離(想像以上に広かったです)
  • 擁壁のせいで一階部分も道路からの人目も気にならない。
  • 現状は、一階の居間からも海が臨める。 (これは角地が建てばなくなりますが。。)
など、土地の素性のよさを感じるポイントにも出会いました。

そして、19時頃には、Su建築士からアイデアスケッチもFaxいただいて、住民協定は、地元は一切関与せず藤沢の建築指導課の管轄であることなどをお教えいただきました。この点は、明日、Su建築士が市に確認くださるとのことです(感謝)

K様が近隣の皆様とも仲良しでいらっしゃるようなので、もし、購入できることになったら、ご近所に私たちを紹介してもらおうと思っています。家を建てるときに、少しでも顔を見知っていたほうがいいと思いまして。今日の現地への訪問で、短時間の間に、「住む」ということに対する非常にいろいろな感情が沸き起こりました。書ききれない体験がありました。

Maさん、斉藤さん、Su建築士、今回のK様、娘さんのだんなさん、と、大変多くの方に恵まれ、環境にも恵まれ、もう迷っていても始まらないと思いました。

決めたいと思います。明日、また連絡します。短時間でも、直接斉藤さんにお会いして話せたら幸いです。本当にありがとうございます。

<買付打診:午前11時>
  • Yoさんと齊藤の連絡ラインが開通、早速、アース・デザインから相手方業者に状況確認。
  • Yoさんと買付条件を詰めた上で、物件を保全。
齊藤→Yo様
お世話になります。夕べは連絡が付かなくて申し訳ありませんでした。協定の件、さすがSu建築士です!

齊藤はこの件だけが引っかかっていたので、安心しました。さて、物件の方ですが、奥様とお昼前に連絡、その後N不動産と何回か電話連絡にて調整がつきました。Yoさんが木曜日午前中までに購入申し込みを書けば、Yoさんが一番手です。

その手続きですが、以下の様にして下さい。

  1. Yoさん帰宅次第齊藤まで連絡
  2. 齊藤より申し込みフォームfax → 記入方法の打合せ
  3. 記入・受印後Yoさんから齊藤宛fax→N不動産に転送
  4. 明日、本書をK様にお届け(が丁寧でしょう)
また、打合せながら進めましょう。

Yoさんは申し込み後の契約日等の調整をしておいて下さい。契約自体は速やかに、引渡は先方も転居先をこれからさがす(?)ということなので多少時間が欲しいと言うことでした。

なお、周辺登記簿調査は完了しています。ほとんど何の問題もないと言えますので、こちらも併せて後ほどfax致します。

Yo様→齊藤
お世話になってます。ご連絡、調整など、ありがとうございました。
>協定の件、さすがSu建築士です!
それもこれも、事前にSu建築士にお願いできていたからですね。理想の家が建つのか、買ってからドキドキしなくて済みます。おかげさまで、みなうまくかみ合ってます。

>Yoさんが 一番手です。
良かったです。手続きの件、了解です。なるべく早く帰れるように努力します。

>契約自体は速やかに、引渡は先方も転居先をこれからさがす・・多少時間が欲しい
まだ、建ってないのかしら? うちは、それほど急いでないですし。どのみち税金(特例)の期限の年末には間に合わないだろうし(^^;

>なお、周辺登記簿調査は完了しています。
ありがとうございます。
おかげさまで、大きな一歩を踏み出せました。完成まで、いや、完成後もよろしくお願いいたします。

齊藤→Yo様
お世話になります。ちょっと今までとは趣旨の違うメールです。

齊藤が信頼する土地家屋調査士兼測量士にIさんという方がいます。齊藤が言い出す無理難題を、軽やかにクリアしてくれる専門家なのですが、先日齊藤から、「眺望線」について、測量で数値的な積み上げのシミュレーションが出来ないかという課題をぶつけてみました。

ここがIさんの良いところなのですが、「やってみる」という回答が返ってきました。 机上論では測量で水辺線とか水際線、134号線を地図上の距離から計算し、各々の高さが測量できれば三角形の斜線部分に当たる眺望が、当該地点から10m先にある建物に、何mの高さで遮られるかが算定できるはずですよね? 問題は精度と費用のバランスだと齊藤は認識しています。

ただし、本件はIさんも初めてのことであり、やってみないと何の保証も出来ないということです。

この「保証できない」を大前提に、Iさんは業務を離れてチャレンジをして頂けるということですが、お受けになりますか?

参考にはならないが数字だけは出てくるということは、Su建築士にもご負担をおかけすることが考えられます。お二人のご意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

Yo様→齊藤
お世話になっております。海うみウミ〜!とうるさいワタシどもに、なんとも興味深いご提案・・・(^^:

>齊藤から、「眺望線」について、測量で数値的な積み上げのシミュレーション・・
今回の物件は、角地に何か建っても道路分の眺望は将来的に確保されることはわかっていながらも、少しでも視点があがることで、真向かいに建つ家の屋根の上に水平線が出てくることから、欲が出ております。私どもとしては、眺望線の算出、ということには非常に興味があります。

床が上がると江ノ島灯台も根本まで見えてきて、水平線が端から端まで見えるようになるので・・・

費用等は見当もつきませんし、もちろん、これで眺望の確約、ということにはならないと思いますが、心の糧、いや安心の元になると思います。

Yo様→齊藤
お世話になります。いろいろありがとうございます。今後について、直接お話したいなーと思うのですが、今夜お会いいただけたりしますか?22時頃になるかと思うのですが・・。
齊藤→Yo様
了解しました。特に夜の打合せは入っていないので、ご都合の良い時間にお電話下さい。事務所にいます。申し込みの件があるので三文判があれば持ってきて下さい。
<申し込み:午後11時>
  • Yoさんが買付申込書を記載。早速fax送信にて買付申し込み。
問題発生:午前10時>
  • 眺望線上の空き地が建築協定区域から除外されていることをYoさんが発見。
  • 以下、調査を開始。
齊藤→Yo様
お世話になります。本日の件、まとめてみます。
  • 昨晩、Yoさんが当該土地購入を決定。
  • 購入申込書を記載、fax送信。
  • 本日Yoさんが、眺望線を阻害する土地が建築協定(高さ制限9m)から除外されていることを調査、アース・デザインに報告。
  • アース・デザインにて都市計画図を調査、風致地区による高さ制限があるが15mと無意味であることを確認。
  • 第一種低層住居専用地域の高さ制限は都市計画図に記述がないので齊藤からSu建築士に相談。
  • Su建築士が調査の上Yoさんに上記制限は藤沢市の場合10mであると報告。
  • 齊藤からYoさんに経緯確認の後、建築面積の1/8緩和について再調査を決定。
  • 齊藤から藤沢市の建築指導課に問い合わせ、建築面積の1/8までは、12mを上限として10mを突出する可能性があることを確認。
  • また、併せて市としては良好な建築協定区域である以上、そもそもの穴抜けを解消する方向での行政指導も行う(お願いではあるが・・)ということを確認。
  • つまり建築段階で藤沢市から穴抜けの施主に対して、協定への参加を一応呼びかけるということを確認。
  • 斜面地の方について、担当と齊藤の間にて上記以外の抜け道があり得るか(高さに関して)協議の結果、双方共に思い当たらない。
  • したがって、本件は高さ10m、突出部分は建築面積の1/8までの規模にて12mまではあり得るというのが回答。
本来、こうした事情は相手の不動産業者は無頓着ですから、売主には十分な説明が出来ないでしょう。売り主は私たちが何をしているのかが理解できないでしょうから、次に買付申し込みを取り下げる場合には相当程度売主の心証も害するとお考え下さい。

当面、現在の買付申し込みを維持し、上記条件にてYoさんがご納得頂ける場合には何もなかったことにして手続きを進めるのが得策と考えます。

ただし、もしもご不安な部分があればSu建築士ともよく相談して下さい。

リミットは明日、午前中です。

>Su建築士
補足があればお願いします。

【その後、本件については当方の建築的工夫で対処が可能と判断、購入を決断!】

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