総括:アース・デザイン齊藤
この業界には「不動産にお買得無し」という格言がある。
この言葉を真に受けて恭順すれば、その時点で有益な土地探しが終わる。
ここで疑問を抱けた者だけにその先の道が開けるが、しかしながら、この道は少し先で二手に分かれる。
努力を重ねる者に開ける道と、そうでない者がたどり着く道である。
「不動産にお買得無し」・・単にこのことばに抗うだけで、たいした努力もせず、
「自分だけは損をしまい・・」と我を通した者は大抵は失敗をする。
「お客様だけです・・」という使い古された営業トークに流され、最新の情報に踊らされ、
その日の午前中に客観性を持ってその宅地の価格の妥当性や安全性を判定するなど、
出来るのであればそれは消費者ではない。そしてこの失敗は意外と「恭順」以上のダメージとなる様な場合も少なくない。
更にこうした物件は現在の不動産取引の仕組み上、業者が努力を持ってつかみ取った情報ではなく、嘘や隠し事の延長線上にある
「単なる隠し物件」と分類することが妥当なため、
そうした物件を購入する者はその陰で「売主」という被害者を作り出す加害行為にも一枚かまされたことになっている。
もっともこの失敗に気づかない者が実は大多数なのだが、それは幸せ者ではあるが成功者ではない。
と同時に加害者となっている場合があり、そして遠い将来には自身が逆の立場で被害者となる可能性を秘めている。
Kさんの土地探しは言うまでもなくこの二手の道の前者を選択したパターンであった。
Kさんの土地の最終引渡、実はアース・デザインのその他のクライアントが多数同席、
見学している。感想は「とても貴重な体験をさせてもらった!」とか「いつか自分も通る道・・心構えが出来た。」とか、
「「その時」を迎えるべく、今は地道な努力をしようという気持ちになれた。」等、プラス方向の評価が大勢を占めた。
また、当日はKさん自身の口から「体験談」も聞かせていただき、こちらは更に好評を博した。
もっともKさんの言葉のひとつひとつに説得力があり、行動や決断を皆が頼もしく感じることは必然である。
なぜならKさんは皆の目の前で説明やありがたい講義をしたのではなく、「やって見せてみた」のである。
「ややお買得かな?」という程度のポテンシャルであったこの土地を、
・ 農地転用することで地目を変更
・ 国有地の境界確定を実施、リスクを排除
・ 民民境界を全方向確定し、リスクを排除
・ 地積校正及び分筆
・ 越境の電線引き込みルート変更
・ 全体価格の減額交渉をしつつ、敷地の形状を買い増しによって併せて変更
・ この変更によって日照を自己敷地にて確保(自力確保)、
併せて更にこの買い増し分を減額交渉
・ この交渉を有利に展開するために契約日を12月31日に設定
・・という努力をした上で、もはや当初の売り物件とは全く異なる別なお買得不動産に造り変えた。
以上、占めて鎌倉駅徒歩10数分の一等地の住宅地、佐助二丁目で坪56万円。専用通路幅員が4mに広げられた南側接道のこの宅地は、
専用通路型宅地のレベルを超えた宅地力を保持し、風致地区の壁面後退規定と合わせると住居正面南方向に6mの法的担保空間を永久に持つものとなった。
こんなに盛りだくさんの引渡条件を備えた土地の引渡である。立ち会えたクライアントは幸せとしか言いようがない。
そしてそれをやり遂げたKさんも多分、大いに満足であったことだろう。
しかしこの日、この場所でもっとも幸福を感じていたのは実は齊藤自身である:笑
なぜなら、自身のクライアントが自身のクライアントの経験談に目を輝かせて聞き入っている様など、普通の不動産業者には見られ様訳もない。
「都市計画コンサルたるもの、制度の提案によって社会に貢献せよ」という立場の20世紀型コンサルタントの方には大変申し訳ないが、
こうした現実に直面すればするほど齊藤には一つの制度を作ること以上にひとつひとつの実績を積み重ねることの方が余程社会的影響度が大きく、
その延長線上にしか我が国の住環境向上とか街並み高質化は無いだろうと思えてならない。
「思える」という言葉をあえて使ったがこれは確信と同等の重みを持っている。
要するにさっさと60年前からこういうことをしてくるべきだったのだろう。
制度などというものはちょっと賢い誰かに任せておけばよい。仕事は現場にしか無く、幸福もそこにしか無い。
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- 第1章:土地購入編(1) 設計者選定時期と作業スケジュールの構築
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